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世界で役割を果たせる日本

感染症の流行で世界は大きく変わるわけです。代表的なのが中世のペスト。教会の権威が失墜する。助け合うためには国家が必要と、近代国家の原点になったわけです。疫病によって、いままた変革を求められているのは間違いありません。そのときに世界で日本が果たせる役割は大きい。

 中国に対しては「情報を隠蔽しないでください。」米国に対しては、「世界保健機構(WHO)に原因調査を要求するのは当然、でも分担金拠出を減らすというのは問題だ」と、双方に協調を求められるのも日本、安倍総理なんです。安倍総理は四月十四日に東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)の首脳らとのテレビ会議で、早朝の治療薬開発の重要性を強調し「ASEAN感染症対策センター」設立を提案し、賛同を得ました。このように具体的な形で、世界連携を主導して欲しい。

 今後、コロナウィルスの第一波が終わっても第二波、第三波が起り得る。百年前、大正時代のスペイン風邪では大きな流行は第三波までありました。のど元過ぎれば熱さ忘れるではありませんが、スペイン風邪では、日本国内で四十万人以上亡くなりながら、その後、なぜか忘れられていきました。


 不幸なことですが、人類の歴史は感染症、疫病との闘いの歴史です。その都度新たな感染症が現れます。これをWHOは、「新興感染症」と呼んでいます。今後も新興感染症に対する監視を怠らず、PCRや抗体検査を充実させ、予防薬、治療薬をいつでも迅速に作れるよう危機管理の重大な柱のひとつとしてぬかりなく体制を整えておかなければなりません。これが基本戦略になります。