私と安倍晋三総理は平成五年の衆議院の当選同期。さらに秘書時代から仲です。その安倍さんはいま、新型コロナ世界同時危機、国難に対処されています。でも、意気軒高ですよ。もちろん休みがないから疲れはたまっているとは思いますけど。総理は、この局面において重みが出てきました。 腹もすわっています。自分がやったことを何がなんでも変えないということではなく、命を守ることは何でもやる。「朝令暮改」と言われても、やるべきことはやるという意味で腹がすわっているのです。
例えば、新型コロナウィルス感染拡大を受けた緊急経済対策では、焦点だった現金給付を「国民一人当たり十万円」に方針転換しました。いったんは減収世帯に対象を絞った三十万円給付で決着したにもかかわらずです。「一強」と言われた総理がなぜ、自民、公明両党からの提言を受け入れて補正予算案の組み替えに踏み切ったのか。
それは、長期政権末期の弱体化ではありません。必要ならば柔軟に受け入れるんです、総理は。今回は人間が敵ではありません。敵はコロナウィルスです。みんなそれを忘れている。ウィルスは見えないから、見えるところに批判が集中する。それはやむをえない。対応に関する批判も総理は真摯に受け止めるべきです。現にこの混乱について、国民の皆さんに素直にお詫びしました。安倍さんらしい一面です。
この現金給付をめぐっては、四月六日に自民党の政調全体会議で「一世帯当たり三十万円の現金給付」を了承したとき、反対論が強かったので、岸田文雄政調会長は政府に「されに深堀りした現金給付を検討するように」との条件を付けて一任を取り付けました。すでに変更の余地はあったのです。
給付金は当座をしのごうという“共済金”なんです。共助のお金なんです。そのためにはタイミングも重要で、早く支給しなければいけない。それで総理は第一弾目として一人一律十万円で決断したんです。まずは公平に一人ひとりに染み渡るように支援しようということです。平時の生活・経済対策とは違うんですから、長期戦になれば次の補正を組み、第二段目として減収世帯に対象を絞った給付金支給もあり得るでしょう。
この未知のウィルスに打ち克つためには、国民の一致団結した行動しかありません。国民の声を聞き実情を知る。政府と国会、与党と野党が一致団結してた高く姿勢を示すことは、国民に団結を促し安心感を与えるメッセージにもなります。国民が団結できる内容であれば、前代未聞の予算の組み替えにさえ躊躇しない。総理はある意味超越しています。